地元ライター発信!壱岐旅ブログ
遠い夏の記憶を思い出す ~私が壱岐島に移住して~
ーあの夏の日。
記憶のページをめくっていくと、どんな景色が広がっているだろうか。
あなたにとってそれは、妙に懐かしく、愛おしいものではないだろうか。
この島には訪れた人々を癒す景色が、空気が、音が、匂いが存在する。
きっといつかのあの記憶が蘇り、
あなたの日々を少しだけ癒してくれるのではないだろうか。
さぁ、わくわくする夏の始まりだ。
掲載日:2023年07月03日
ライター:みつこ
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目の前に広がる壱岐島ブルー
目を見張るほどの青さに心奪われると、まるで時間が止まったような感覚になる。
ビーチサンダルで浜辺を歩いていると、さらさらとした白砂が足元を包み込み、一歩一歩に力が入った。
そうしてできた自分の足跡を振り返り、自分がどこをどう歩いてきたのか立ち止まって眺めてみたりする。
ゆっくりと水に足をつけると、透き通る水の中で小魚たちが泳いでいく姿が目に入り、なんだかワクワクした。
島内に10以上ある浜辺を周って、その日のお気に入りの場所に腰を下ろし、遠い水平線を眺めながら、波音に耳を澄まして過ごす。心が安らぐ贅沢な時間だ。
私が移住を決めた1番の理由
水平線から昇る朝日で1日を始め、水平線に沈む夕日を見て1日を終える生活がしたかった。
太陽によって色を変える空の色、波の音、潮の匂い、冷たくも温かくもある風。私にとってその瞬間は、恐らく記憶している人生の中で1番幸せを感じる時間だ。
移住してからそれは日課となり、日の出も日の入りも少し足を伸ばせば見ることができる毎日となった。
壱岐島に暮らすようになり、世界が“好き”で溢れていることに気がついた。こんなにも世界は美しかったのだ。
神々が宿る島
島内には150を越える神社が鎮座している。なかには地図にも載っていない場所に厳かに佇む神社もある。
鳥居をくぐり一歩足を踏み入れると、深い緑の香りと冷たい空気が鼻を通り、静寂を感じる。
日本最古の歴史書「古事記」にも登場するこの壱岐島は、古来より神々との縁が深い地として語り継がれてきたそうだ。
歴史の深さを感じながら、ゆっくりと手を合わせると、この地に来ることができたご縁に、感謝の気持ちが自然と溢れてくる。
緑豊かな田園風景
車から降りて歩く散歩道。そこには様々な景色が広がっている。
耳を澄ますと多様な虫の鳴き声が聞こえ、たくさんの生物がそこで生きていることを感じる。
東京に住んでいた頃は、そんな当たり前のことにも気付いていなかった。
壱岐島で暮らし始めて、都会では気付けなかった学びの多さに感銘を受ける。
壮大な話になってしまい気恥ずかしいが、私たちは自然の中で生かされ、地球にとっては生物のひとつでしかない。だからこそ、できる範囲で目の前の存在を理解しようとし、感謝を持って生きていくことが大事だと思う。
それはもちろん人だけでなく、そこに在るすべての生物に言えると思う。
懐かしい夏の記憶がある島
壱岐島を一言で表すとしたら、と聞かれることが増えた。私はいつも「夏休み」と答えて質問者を困惑させている。それを分かっていながら、夏休みと答え続けるのには、当たり前だが持論はある。
昔、誰にでも訪れた夏休み。人それぞれの思い出が心の中にしまってあると思う。
暑い日差しの下、友達と自転車で走り抜けた坂道。海に行ってはしゃいだ家族の笑い声。
ラムネのビー玉を取るのに一苦労したことや、初めて友達同士だけで行ったお祭りのかき氷の味。
兄弟で線香花火対決に息を呑んだおばあちゃんちの縁側、そして鳴り響く蝉の声。
もう二度と戻ることはできない儚さに胸がキュッとなるが、妙に懐かしく、愛おしいあの夏の日。
この島には、あの時のあの気持ちを思い出す場所がたくさんある。だからこそ、この記事を読むあなたにも、壱岐島に来てあなただけのそれを感じてほしいのだ。
人生は一度きりだ。だからこそ自分の指針を大事にしたい。
頑張ることもいいし、休んだっていい。
空を見て、海を見て、山を見て、大きく深呼吸して感じてみてほしい、世界はとても美しいのだと。
そう、人生にはそんな夏休みのような時間が必要なのだと思う。