麦焼酎発祥の地、壱岐。豊かな水と麦、大陸伝来の蒸留技法が生む至福の味わい!-1

麦焼酎発祥の地、壱岐。豊かな水と麦、大陸伝来の蒸留技法が生む至福の味わい!

知っていますか? 壱岐では乾杯には焼酎!が習慣なんですよ。
だってほら、それは麦焼酎発祥の地ですから。何と500年の歴史を持つんです。

「地理的表示の産地指定」によって国際的にも認められている壱岐麦焼酎。
2013年に「壱岐焼酎による乾杯を推進する条例」が制定され、壱岐では誰もが、好きな銘柄で「乾杯!」「乾杯!」「乾杯!」。きれいな水と上質な穀物を持つ壱岐ならではの麦焼酎、地元の人が愛してやまない美味しさの秘密を、呑んで確かめてみませんか!

その歴史は500年! 壱岐に古くからあったどぶろく文化と蒸留技術との出会い

室町時代末期に平戸松浦藩の領地となった壱岐。肥沃な土地でコメ作りが盛んでしたが、厳しい年貢を納めると米はほとんど残りません。農民は年貢の対象外だった麦を主食とする傍ら、麦で「どぶろく」を自家醸造して、ささやかな楽しみとしました。しかし、どぶろくは日持ちが悪く造り置きができません。そこで、壱岐の人々は麦を主原料に米麹を使い、大陸から伝来していた蒸留技術を用いて、麦焼酎を造り始めます。日々の暮らしの中で、親から子へ代々、その技術も味も進化。壱岐ならではの美味しい麦焼酎が伝わってきたのです。

今に伝わる七蔵。伝統の製法をベースに、独自のこだわりと個性で新たな焼酎造りを

壱岐の人々にとって昔から伝わる焼酎造りは、暮らしの楽しみとして欠かせないものになりました。明治時代には55軒の蔵があったと伝えられます。その後、明治時代に酒税法が改正され免許制になり、各家庭で焼酎造りが禁止されました。現在、壱岐の焼酎蔵元は七軒。どの蔵も伝統の製造法を守りながら、独自の個性や美味しさを追求。昔からの進取の気風が、新しい壱岐の焼酎を生み出しています。

【壱岐の七蔵】
■天の川酒造
■山の守酒造場
■玄海酒造
■重家酒造
■猿川伊豆酒造
■壱岐の華酒造
■壱岐の蔵酒造

今回は「壱岐の蔵酒造」様と「玄海酒造」様を取材させていただきました。

壱岐の焼酎はここが違う!美味しさの秘密に潜入

壱岐の蔵酒造の志賀さんに直接取材してきました!200年以上歴史のある6つの蔵の協業化によって誕生した「壱岐の蔵酒造」。広い敷地の中で多くの銘柄を作っており、そのスケールの大きさにびっくり!こだわりを「壱岐であること」というテーマに凝縮して、変わらぬおいしさ、さらなるおいしさを追求しているそうです。ご案内いただきながら、さっそく質問スタート!

Q. 壱岐焼酎ならではの特徴ってどんなものでしょう?
A. 壱岐の土台層である玄武岩層を、長い年月をかけて磨かれミネラル豊富な地下水がとても美味しいんですね。この豊富な地下水を使用しないと壱岐焼酎にはなりません。
さらに、それぞれがある地域の地下水も味わいに違いがあるんですよ!ということは蔵の数だけ、美味しさの違いがあるということですね。ひとくちに壱岐焼酎といっても多彩な味があるんです。

秘密は黄金比率!蒸留技術も半端ない!

Q. 原料の配分や仕込み方にも特徴があるそうですね?
A. まず麹に米を使用しているので甘みのある味わいになります。そして米麹と大麦の比率は1対2で仕込みます。米のうまみと麦の風味が絶妙に調和する黄金比率なんですよ。

Q. 蒸留方法によって味わいが違うと聞きましたが?
A. 蒸留の技術には常圧蒸留と減圧蒸留の2通りがあります。100度で沸騰させる常圧蒸留だと、麦の香ばしい昔ながらの焼酎が出来上がりますが、タンクの中の気圧を下げると減圧になります。そうすると40から50度の低い温度で沸騰するんですね。するとすっきりとマイルドな焼酎になります。同じ原料を使っても常圧と減圧では味わいや風味が違うんです。女性や若い方には、低アルコールのマイルドな焼酎が好まれているようです。

貯蔵熟成の奥深さ…樽の種類で醸し出す味わいが変わる!

Q. 出来上がった原酒を貯蔵することで、またお味は違ってくるんですよね?
A. 出来上がった原酒はそれだけでも美味しいんですけど、ピリピリした荒々しさがありますので、まずタンクで貯蔵し、まろやかにします。それからカメや樽で寝かせます。昔はカメが主流でしたね。3年以上寝かせた焼酎は古酒になります。

Q. 樽の種類でも味わいが違ってくるんですか?
A. うちはスペインから取り寄せたシェリー酒の樽を使っています。ほかのメーカーさんではワイン樽だったり、ウイスキーだったり、ブランデーの樽だったり。じっくり寝かせると本当にウイスキーのような味と香りになりますね。原酒は42度ですが、それを25度にお水で割って販売しています。

原酒がいいから、ブレンドも極上の味…

Q. 割り方によっても味が変わるんですね?
A. アルコール度数が違えばもちろん口当たりも違います。原酒は味も香りも甘みもしっかりしていて、しかもトロッとしてコクがあります。それがお好きな方もいます。原酒の割合を7%ぐらいにして果汁で割ればジュース感覚で呑めますし炭酸で割っても美味しいですね。女性はこういったリキュールを好まれる方が多いですね。その時の肴や料理によって、呑み方を変えて楽しんでください。強いと思えば好きなように水で割ると、壱岐の水だけにまろやかになります。とにかく一度、いや何度でも壱岐に来て呑んでみてください。やみつきになりますよ!

壱岐焼酎の美味しさの秘密は、水質と米麹と原料の配分と貯蔵熟成!これらの全てが極上の味を醸し出すんですね!

壱岐焼酎はこうして造られる!

次は、玄海酒造さんの工場で仕込みから貯蔵、熟成、試飲を見学、体験してみました。
蔵の表には杉玉が。何とも風情ある格子戸の玄関を入ると、落ち着いた雰囲気の試飲販売フロア。老舗の風格が伝わってきます。それもそのはず創業明治33年、なんと19世紀最後の年。120年の焼酎造りの歴史を写真や資料で展示したコーナーもあって、それを眺めていると、これから見学する工程にあらためて興味津々…。

工程1 1次仕込み 「甘い香りが立ち込めています!」

ご案内いただくのは玄海酒造の石橋さん。ホテルマンのようなスマートな対応で分かりやすく説明してくれました。製造場に入ると米1トンを入れる自動製麹機と主原料の大麦2トンを入れる大きなドラムがドーンと。石橋さんの「ご家庭にある炊飯ジャーの大きいのと思ってください」という言葉に笑って納得。まずは蒸された米に麹菌を種付けし、三角むろに移され、菌が繁殖し、米麹の完成です。温かい空気と甘い香りが漂っています。そう、炊き上がった直後のご飯の、あの匂い…。「これを一昼夜、厳しい温度管理のもとで寝かせ、それからこの麹と酒母と水を約1週間発酵させるんです。ここまでが一次仕込みです」とのこと。これを毎日仕込んでいるそうです。

工程2 2次仕込み 「ブクブクと発酵中。生きてます!」

2階では、その一次仕込みで作ったもろみに主原料となる大麦を蒸して混ぜ、2週間発酵させるという2次仕込みが行われているとのこと。2次仕込みタンクを覗くと、もろみの泡がブクブクと弾けて発酵の真っ最中。「2日目です。自分の力でこれだけ力強く下からポコポコと。1次仕込みで1週間、2次仕込みで2週間、合計3週間で出来上がります。これをあちらの蒸留釜に移動させて蒸留しますと、原酒が完成します」と石橋さん。迫力もあれば、健気さもあって不思議な感動を覚えます。まさに生きてるんです!

工程3 蒸留と貯蔵・熟成「熟成の年月を経て、美味しさが深化&進化」

ここからは常圧・減圧と難しい言葉もあった蒸留の工程に。「蒸留窯にもろみを入れて、加熱します。気体にして、それを冷やして液体にして、つまり焼酎となって落ちてくる仕組みです。ほら、上に上がった気体が液体となって滝のように落ちているでしょう」…まさに滝のように。ダイナミック!そして出来立てほやほやの原酒を味見。アルコール度数44度とか。ピリピリしている!「人間で言えば赤ちゃんです。これを立派に成長させるために、より美味しくさせるために昔ながらの一斗カメや樫樽に貯蔵してゆっくりと育てていくんです」これから先は時間との語らい、今こうしている間も美味しさへの深化が進化してるそう…。

さあ、試飲を楽しもう!できたての味、熟成後の味わい…壱岐だけに一気に焼酎通に!?

一番の人気商品、「壱岐」を呑んでみました。地名をそのまま銘柄としただけあって、そしてモンドセレクションに12年間出品、12年間連続で優秀品質賞受賞とあってふくよかで香味豊か。シャンパンゴールドのような色がきれいな「壱岐ゴールド」はすっきりと呑みやすく上品な味わいで正直、何杯でも呑めそうです。スッキリ、ガツンと来るなどの度数の違いもさることながら、熟成が行けば行くほど、どの銘柄も口に含んだ瞬間の複雑な味わい、まろやかさ、そしてコクが深くなるんですね。カメ仕込みの古酒などはトロリとして芳醇そのもの。感動しました。甘み、香りの立っているもの、ウイスキーのような。焼酎にこんな多彩で多様な味わいがあるとは!発見と感動のひとときでした。

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